……まで秒読み

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映画やゲームや小説などの感想を手当たり次第に書く、、、ことを目的に始めたいブログです。

バーニング劇場版 考察・解釈など

バーニング劇場版 感想

 

上半期ベスト映画。

今年はまだまだ化け物が潜んでいるので分からないけど、ひょっとすると今年ベストかも。

一緒に観に行った友人は「意味不明、つまらん」と言っていた。

人は選ぶみたい。

 

以下、レビュー

結末に関するネタバレあり(いちおうミステリなんで気にする人は要注意)

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 最も印象的で美しかったのは、北朝鮮との国境に沈んでいく夕日とともに裸で踊るシーンだった。ここにも世界の果てがあった。性的なものというのは、それが本当に性的である時には、見るものに一種の悲しみをもたらすものだと感じた。それは人間が性的に消費されてしまうことによる悲しみではなくて、性的であるということそれ自体が極地に達することで生じる芸術的というか、耐えきれない絶望のような美しい悲しみだった。世界の果て、人いきれが澱んでこびりついたような家と荒涼とした農村地、その間で生きているということの悲しさと美しさだった。

 そして、このどうしようもない淀みの中、一瞬しか存在できない希望にしか生きられないということ、それに対する美しさと悲しみは、この映画に通底するテーマであったようにも思う。景品としてあたった安っぽい高級腕時計。ボイラー室で見つけた猫。井戸の底から遠くに小さくポッカリと見える青空。北向きのワンルームに一瞬だけ差し込む反射光。死ぬ前に差す紅。大学は出たけれど就職はせず、何か書きたいと思っても形にはならないジョンス。生きる価値が見いだせずグレートハングリーなジョンスとへミに一瞬だけ訪れた逢瀬。それはどれも同じことのメタファーのように思える(メタファーという言葉もそういえば序盤の方で出ている)。しっかりと自分の人生を掴んでる人には井戸は存在しない。

 韓国の街並みは日本に良く似ていると思う。都会こそ騒がしくあっても、一歩郊外に出ればじめじめと薄暗い人間のるつぼのような場所で、そこには生きる価値なんて転がっていない。そんなところで生きる価値を求めたってどうしようもない。熱烈に生きる価値を求めるヘミは、輝きと同時に消えてしまいたいと言う。同時存在的に。それでも無理なものは無理だから受け入れるしかない。それはビニールハウスが燃やされるのと同じだ。

 そしてベンもまたヘミと同じで、生きる価値も見当たらず(働くのも遊ぶのも同じだ)、退屈にあくびをし、そして死を求める人間のように思えた。サスペンスとして観るならば復讐とも思えるあのラストも、そう考えると復讐ではなくむしろ、ジョンスがベンに共感した、ようやく理解した結果、ただそうあっただけのものであるように思えてくる。世界は謎だらけで何も確かなものが掴めないのだからただ受け入れることしかできない。あのシーンに抵抗はなく、抱き合い分かちあってるようにも見えた。

 生きる意味なんてどこにもない。
 ないのだから、ここにあると信じるのではなくてないことを忘れ、あるかのようにパントマイムをして振る舞うか(それは特殊な才能なんていらない誰だって練習すればできることだ)、ないことをただ受け入れるかしかない。ヘミは前者を選んだけれどベンに殺され、そしてジョンスとベンは後者を選んだ。
 
 
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 ドブ底に溜まった汚水が陽の光を反射してキラキラ光ってるような映画でしたね。
 
 ラストについては、ジョンスの書いた小説の映像化、といった解釈もあるようで、そっちの方が筋は通ってそうだと思いました。
 

 

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